Untitled
ゼラチン・シルバー・プリント
- 杉浦 篤1970-
- 杉浦の作品は、杉浦自身が長い年月をかけて触ってきた写真である。紙自体が劣化し、セピア調の色合いになっていることに加え、触ってきた箇所は表面が磨耗して部分的に下地が晒されている。写真が映すのは、旅行の記録やとある日常の1ページなど、パーソナル...
杉浦 篤
1970-
杉浦の作品は、杉浦自身が長い年月をかけて触ってきた写真である。紙自体が劣化し、セピア調の色合いになっていることに加え、触ってきた箇所は表面が磨耗して部分的に下地が晒されている。写真が映すのは、旅行の記録やとある日常の1ページなど、パーソナルなものである。杉浦は自由な時間にのんびりと写真を見たり、そわそわしている心を落ち着けるために写真と向き合ったりする。好きな人、場所、気になる被写体については特に執拗に指で撫でることも習慣的な行為の一つである。写真の中の世界に思いを寄せるその行為が蓄積し、形になったものが彼の作品といえるだろう。
本展では、2020年、「ボーダレス・エリア近江八幡芸術祭 ちかくのまち」※での展示を再現した。この展示は、しが盲ろう者友の会との共同のもと、鑑賞方法の可能性を考えるプロジェクトの中で具現化した。目の見えない、見えにくい人と一緒に味わえるよう、作品の現物のほかに、自分が見たい大きさに拡大・縮小できる非接触デジタルツールや、作品に出てくる実際の物などを展示した。
※「ボーダレス・エリア近江八幡芸術祭 ちかくのまち」(2020/ボーダレス・アートミュージアムNO-MA他/滋賀)