使用される画材は黒のボールペン。真っ白な支持体に下書きをせずに描き始める。次々と連鎖していくように形を描き、モノクロームの世界は少しずつ広がっていく。緻密に描かれた画面は、うごめくような感覚をもたらし、観る者の眼を惹きつけて離さない。
以前は無心にペンを走らせて一気に描いていたが、現在は時折立ち止まりながら時間をかけて制作するようになったという。この変化について、ノナカミホをよく知る美術家、上野玄起は、「画面上で変化する作品と対話する時間を大切にするようになり、一人の作家として自分の絵を変化させていきたいという思いが芽生えたのではないか」と語っている。