街と車のある風景
紙、ボールペン 419×573
- 戸舎 清志1969-
- 町を俯瞰的に捉えた彼の絵には、車がすし詰めになっている。絵を描くために使うのは、定規とボールペンであり、非常に規則正しくスピーディに描かれていく。支持体にはカレンダーの裏を選ぶ。滑りがよく描きやすいのがその理由である。大量に描かれる車はすべ...
戸舎 清志
1969-
町を俯瞰的に捉えた彼の絵には、車がすし詰めになっている。絵を描くために使うのは、定規とボールペンであり、非常に規則正しくスピーディに描かれていく。支持体にはカレンダーの裏を選ぶ。滑りがよく描きやすいのがその理由である。大量に描かれる車はすべて実在のモデルがあり、彼は車種、年式まで把握した上で、一台一台描き分けている。戸舎の絵のベースになっているのは、彼が勤務先に通うバスの車窓風景だ。はじめは画中に人物も描かれていたが、近年では描かれなくなったという。彼の絵の中では、規則的な線が構造を織り成し、建造物と車のひしめく無人の世界が展開されている。
俯瞰した街にたくさんの車がひしめく風景。
黒いボールペンの線のみで、紙面の隅々まで描き込まれている。
車は、道路だけでなく、ビルや家の間をぎっしり埋め尽くす。一台一台異なる車種のディテールも丁寧に描写されている。
屋根やフェンス、信号機、建ち並ぶ電柱やピンとはった電線は、定規を用いた線で緻密に描かれている。一方で人物や木々の描写はなく、無機質な別世界のように見える。