イラストレーションボード、ジェルボールペン 255×180
- ノナカ ミホ1991-
- モノクロームなのに彩りを感じる。画材は黒のボールペン。大きな面もボールペンで塗りつぶす。そのボールペンで描かれた形や塗られた黒い色は彼女の手の動いた跡。だからか今にも動き出しそうで画面に彩りを生み出す。白い画面に下書きもなく一箇所から描き始...
モノクロームなのに彩りを感じる。画材は黒のボールペン。大きな面もボールペンで塗りつぶす。そのボールペンで描かれた形や塗られた黒い色は彼女の手の動いた跡。だからか今にも動き出しそうで画面に彩りを生み出す。白い画面に下書きもなく一箇所から描き始め少し眺めては次々と形を繋げていく。ある部分は直線だったり、ある部分は曲線だったり時には具象的な形が見えたり、それらの形は見る人に何かを連想させ、惹きつける。作品を描き始めた頃は無心にペンを走らせて一気に描いていたけれど今では時間をかけて作品を完成するようになった。これは画面上で変化する作品と対話する時間を大切にするようになったから。一人の作家として自分の絵を変化させていきたいという思いが芽生えたからでもある。独自の世界観を作り上げつつも変化を続けることは容易ではないが、彼女が自身の内面に彩りを持ち続ける限り、見る人を惹きつける作品を生み出し続けるだろう。(上野玄起/美術家)
黒い線が創り出す凄みのある陰影。
おとぎ話に出てくる不穏な森のように、入り込んだら抜け出せないかもしれない闇が見え隠れいているのに、魅力のほうが勝って、足を踏み入れてしまうような。
いくつもの線と塗りつぶしがうねりとしたたりを作り出している。
ぎょろりとした目玉のようなものがあり、舌なめずりをしているような、哀願しているような不思議な眼差しを感じる。