カサブランカ
紙、鉛筆、クレヨン、水彩 541×381
- 小松 勝彦1972-
- 勝彦さんの眼 勝彦さんが絵を描く姿はスゴい。 まず、目の前の獲物を逃さないぞ、という迫力がある。見えるものはすべて描きつくすという迫力だ。 それは、言いかえれば「味わい尽くす」という感覚に似ている。 例えば、開いたエンドウ豆の、そのひと粒ひ...
小松 勝彦
1972-
勝彦さんの眼
勝彦さんが絵を描く姿はスゴい。
まず、目の前の獲物を逃さないぞ、という迫力がある。見えるものはすべて描きつくすという迫力だ。
それは、言いかえれば「味わい尽くす」という感覚に似ている。
例えば、開いたエンドウ豆の、そのひと粒ひと粒の大きさや付き方の違いや、細かいしわの表情など。ヒマワリや百合の花びらにある筋や模様。びっしり並ぶ種の密度。勝彦さんは、それらを描くことによって眼で味わっているようだ。
勝彦さんの眼は、すべての物に平等だと思う。花びらの細い筋も、大きな葉の葉脈も、マイクも、恐竜も、目の前にあれば、平等にあばいてしまうのだ。
そして、モノたちは、勝彦さんによってその本性をさらされる。
私たちは、勝彦さんの描いた物を見ることによって、初めてその物を見るような驚きを感じることができる。(浅川洋/美術家)
紙いっぱいに描かれたカサブランカの絵。一枚の外国製のスカーフのように華やかな印象。手前に大輪の花がダイナミックに描かれている。4枚の花びらは次の瞬間にも落ちそうなほど開いている。花びらの表面にパープル、オレンジ、ブルーがあしらわれている。その大輪の奥にも花や葉が描かれている。手前の1輪ほどはっきりと描かれてはいないが、よく観察して描かれていることが分かる。背景は半分あたりで斜めに色分けされていて上半分はピンク、下半分は黄緑。独特の世界観を感じる。