無題
紙
- 井口 直人1971-
- おぼろげに浮かび上がる男性の顔。これは作者本人、井口の顔である。彼の日課は、コピー機に自らの顔を押し付けて、身の回りにあるものを併せて置いた上で、それを出力することである。この行為は、近所のコンビニと彼が通う施設のコピー機を使って行われる。...
おぼろげに浮かび上がる男性の顔。これは作者本人、井口の顔である。彼の日課は、コピー機に自らの顔を押し付けて、身の回りにあるものを併せて置いた上で、それを出力することである。この行為は、近所のコンビニと彼が通う施設のコピー機を使って行われる。カラーリングには、いくつかのバリエーションがあり、フルカラー、白黒、2色刷りなどで出力される。この不思議な行為は、支援員との遊びの中で生まれ、習慣化していったという。自己と周囲に存在するモノ、これらを複製し紙に定着させ続ける彼の行いは、他に類を見ないユニークな記録行為であるとともに、強烈なイメージを生み出す表現行為でもある。
淡いブルーの背景。
中ほどに電卓、右下に目を閉じた男性の顔がぼんやりと浮かんでいる。
電卓の輪郭は、わずかに歪み、ゆらゆらと漂っているように見える。
作品の右上は、白いレース柄に黄色い丸が水玉模様のように重なっている。丸には濃い黄色と薄い黄色があり、いくつか青い四角も混ざっている。丸や四角の中にはビールの銘柄が書いてあり、キャンペーンの応募シールのようである。