無題
鉛筆、色鉛筆・紙 190×1844
- 筒井 貴希1984-
- 描かれるのは、筒井が頻繁に通る寺泊港市場や、県内の駅など。画材は1本の鉛筆と12色の禿げたクーピーと色鉛筆のみ。脳裏に在る風景を、順次取り出してひたすら紙の上に吐き出している、という感じなのである。 よく見ると看板が別のものに架け替えられた...
筒井 貴希
1984-
描かれるのは、筒井が頻繁に通る寺泊港市場や、県内の駅など。画材は1本の鉛筆と12色の禿げたクーピーと色鉛筆のみ。脳裏に在る風景を、順次取り出してひたすら紙の上に吐き出している、という感じなのである。
よく見ると看板が別のものに架け替えられたことに気付くやいなや、すぐに自分の描いた過去の看板を取り除き、新しいものと取り替えるのだ。
彼の絵は常に現実の時間軸とつながっている。記録した風景の一部が変化してしまったことは、自分が自分であることの柱を見失ってしまったような不安にかられるのだろう。
彼は自動車の窓から、この情景を眺めているだけで、車から降り立って時間をかけて見ている訳ではない。どの町看板の絵もそのような瞬間的な記憶の積み上げによって描かれている。