パラリング日本サッカー
marker and color pencil on paper、270 x 380
- 大隈 隆広1982-
- 大隈の画面では短い縦の平行線で埋められた単位がモザイク状に積み上げられて、風景や生活の情景が組み立てられる。部分を見ればストライプやグリッドで構成された抽象絵画である。だがコツコツとゆっくりと埋められたらしき線には自然な感触があり、柔和な色...
大隈 隆広
1982-
大隈の画面では短い縦の平行線で埋められた単位がモザイク状に積み上げられて、風景や生活の情景が組み立てられる。部分を見ればストライプやグリッドで構成された抽象絵画である。だがコツコツとゆっくりと埋められたらしき線には自然な感触があり、柔和な色彩と同調して、微笑ましさが漂ってくる。大隈が日々の生活の中で出会ったものごとを記憶に基づいて描いているのだから、その親密さの由来がわかる。内部に交差する線が走っている円が並んだ絵(12)はサッカーボールとコートに引かれた線から成っている。丼鉢の整列(13)は仲間と行ったラーメン屋、コーヒーカップの集まり(15)にはコーヒータイムの場面が描かれている。家や生け垣やビルの展開図(17)を走りめぐる曲線は道路を示しているそうだ。自身が街を歩いた経路が示されているのかもしれない。どの場面も記憶の断片から生まれてきたものだったのだ。