シンデレラ城
色鉛筆、水性ペン・紙 560×770
- 松本 寛庸1991-
- 何というミクロの世界だろう。松本が色鉛筆と水性ペンを使って埋めていく画面は微小な形態で余すところなく充たされている。全体が幾何学形態なのではなく、風景や地図、乗り物や物語の場面が描かれている。たとえば世界地図は4枚組で、そのうち3枚には内部...
松本 寛庸
1991-
何というミクロの世界だろう。松本が色鉛筆と水性ペンを使って埋めていく画面は微小な形態で余すところなく充たされている。全体が幾何学形態なのではなく、風景や地図、乗り物や物語の場面が描かれている。たとえば世界地図は4枚組で、そのうち3枚には内部がオレンジと赤・黄のモザイクに分割された円が無数に散らばっている。1枚だけには真ん中に同色のモザイクからなる大きな円が居座っている。残りの1枚は、モザイクが今度は青の濃淡と紫に組まれていて、中央の楕円形の中に世界地図がおさまっている。地球も大きな天体の一部であり、無数の惑星の群れの中に太陽や地球が存在している。宇宙の構造もミクロの集合ならば、異国の風景や戦の象徴も紋様の集まりからなっている。松本の関心は、太古の生物から、近世の歴史物語、多種多様の民族国家からなる世界の構造、そして宇宙の成り立ちにまで、幅広い時間や空間を意のままに飛び回っている。