やおじのおんせん
水彩、墨・紙 298×420
- 仁井 将貴1988-
- 実際に見た風景やTVで見た光景を描く仁井の絵の中の形は、積み木で組み立てられたものか舞台の書割りみたいに作り物的である。ふんだんに盛られた絵の具と墨汁による太い輪郭線のためにそう見えるのか。出品されている10点のうち2点は段ボールに描かれた...
仁井 将貴
1988-
実際に見た風景やTVで見た光景を描く仁井の絵の中の形は、積み木で組み立てられたものか舞台の書割りみたいに作り物的である。ふんだんに盛られた絵の具と墨汁による太い輪郭線のためにそう見えるのか。出品されている10点のうち2点は段ボールに描かれたものだ。仁井の創作意欲は旺盛なもので、週5日通っている工房まるのアトリエで、1日に5点仕上がることもある。割り当てられた画用紙では間に合わず、段ボールやポスターなど印刷物の裏面にも描く。段ボールは好きな大きさに切ってから描く。紙も気に入りのサイズがなければ貼り合わせて描いたりもする。
劇場や会議室のような場面、相撲道場、橋や公園など誰にでも見慣れたものが、仁井の手にかかれば、架空の世界に変貌する。見る人はみな物語の劇場に誘い込まれることになる。このように滑稽味のある仁井の作品は、2016年花乱社から刊行された『ぼく色のレインボーー仁井将貴作品集』にまとめられている。