ぽんぽこ狸
色鉛筆、ペン・紙 380×510
- 西之原 清香1933-2019
- 施設で暮らしていた西之原だが、中に自分だけのための小屋を建て、自ら整えたアトリエで制作三昧の日々を送っていたそうだ。カレンダーの裏面など手元にある紙を探し、ときにはスケッチブックが支持体となることもあった。画材は主に色鉛筆、そしてマーカー、...
西之原 清香
1933-2019
施設で暮らしていた西之原だが、中に自分だけのための小屋を建て、自ら整えたアトリエで制作三昧の日々を送っていたそうだ。カレンダーの裏面など手元にある紙を探し、ときにはスケッチブックが支持体となることもあった。画材は主に色鉛筆、そしてマーカー、ボールペン、水彩絵の具を使い分けた。描く題材は旅行や外出時に眼にした風景なのだが、メモをとり、施設に戻れば記憶が鮮明なうちに、描き始める。
生活圏から離れ、観光地を訪れた体験に基づくものだけに、遊びの気配溢れる愉快な光景が描き出された。場所が導き出す空想も交えているのか、実景に拠ったものとは思えない絵物語の世界が出現している。「諸国滝巡り」には江戸時代の人物たちが催す宴の場面が描かれ、内部観覧が許されてない「金閣寺」にも大勢の人々がいる室内まで見える。
全国各地で開かれる数々のアール・ブリュット展にも出品してきたが、昨年惜しくも逝去した。