かとうさん
鉛筆・紙、270 x 270
- 秋永 光1982-
- 今展の出品作は画用紙に鉛筆で描いた似顔絵のシリーズである。秋永は人物だけでなく、風景や静物など様々なものを描いてきた。対象に応じて、水彩や色鉛筆など画材も使い分ける。どの作品も魅力的で、とくに昆虫は学名が英字で書き込まれたりしていて、専門的...
秋永 光
1982-
今展の出品作は画用紙に鉛筆で描いた似顔絵のシリーズである。秋永は人物だけでなく、風景や静物など様々なものを描いてきた。対象に応じて、水彩や色鉛筆など画材も使い分ける。どの作品も魅力的で、とくに昆虫は学名が英字で書き込まれたりしていて、専門的な関心を窺わせるほどだ。だが今回このシリーズに絞ったのは、似顔絵だけに共通の新奇な様式化が見られたからである。似顔絵は黒の鉛筆だけで、筆圧強く塗りつぶしたり濃淡を描きわけたりする独特な方法で描かれる。対象とする人物の写真を見ながら忠実に写しているそうだが、顔の部品には別の物体や記号にも見えるものが散りばめられている。顔に続けて下半身が描かれているものもある。ヒトの手足や胴体というより、顔の部品と同様、秋永が好んで描く昆虫や家具の一部に見えたりもする。似顔絵のモデルには、施設のスタッフや友人のほか、TVや映画に登場する芸能人もいる。