無題
色鉛筆・紙 383×543
- 滝瀬 新1927-2019
- 戦前生まれの滝瀬は大量の絵を描き残した。現存するだけでも約400枚の作品が彼が暮らした施設に大切に保管されている。晩年は、愛読していた『文芸春秋』の記事を書き写したり、計算機を使って延々と計算に興じていたという逸話が残っており、多趣味な一面...
滝瀬 新
1927-2019
戦前生まれの滝瀬は大量の絵を描き残した。現存するだけでも約400枚の作品が彼が暮らした施設に大切に保管されている。晩年は、愛読していた『文芸春秋』の記事を書き写したり、計算機を使って延々と計算に興じていたという逸話が残っており、多趣味な一面をうかがい知れる。そして、絵を描くこともまた、彼が多くの時間を費やしたことの一つであった。絵は主に記憶をベースに描かれているが、特筆すべきは登場する古い道具や建物、車のディティールや、細やかな情景描写である。古き日本の家庭や、街並みが闊達に描写される滝瀬の作品からは、瑞々しい記憶に裏付けされた過ぎ去った日々への郷愁と、日常に宿るふとした美しさを感じ取ることができる。
作品は、四つ切画用紙に色鉛筆で描かれている。縦38cm×横54cmほどの大きさで、描かれているのは、風景画だ。滝瀬が、実際に見た思い出の風景が描かれている。