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「農×福×食」 九州の食の魅力を味わう

九州ブロック
オンデマンド配信
出演:社会福祉法人南高愛隣会 社会福祉法人八幡会
日本博を契機とした障害者の文化芸術フェスティバル において、日本の食文化の豊かさ、おいしさを、障害者の視点とともに国内外に伝える「農×福×食」イベントを開催しました。長崎の障害福祉サービス事業所が生産する農作物、食品などの現場を取材して、食材の魅力、食にまつわる思いを発信。料理研究家・服部幸應氏監修のもと、これらの食材を活かしたレシピを考案し、2020年9月21日、雲仙市の登利亭にて「九州の食を味わうイベント」を実施した。

食材紹介

対馬地鶏 (社会福祉法人 南高愛隣会 <あいりん>)
2008 年から長崎県農林技術開発センターと連携し、絶滅に瀕した長崎県在来種「対馬地鶏」の飼育に着手。自らの人生を振り返りながら広く社会に認められる活動を通して「自己有用感」を高め、生きがいを持っての活動に大きな効果をもたらしている。
島原手延べ素麺(社会福祉法人 南高愛隣会 〈コロニーエンタープライズ〉)
1998 年に福祉工場として開設、現在は A 型事業所として障害者雇用を継続。地場産業である手延べ素麺の伝統製法を継承し、1日2万食を製造から加工までの一貫した工程で素麺・うどん・ちゃんぽんなどの生産を行う。また 2020 年 9 月に Haccp の認証を受け、国際基準の品質で生産活動に取り組んでいる。
アスパラガス(社会福祉法人 南高愛隣会 <ハローフレンズ>)
島原半島の特徴でもある農業を中心に事業展開する。過疎化により耕作放棄地が増加し、後継者不足が深刻化する地域農家への利用者派遣による農福連携とあわせ、自前で 28 アールのハウスでアスパラガス栽培を行う。工賃向上に取り組み平均で 31,000 円を超える工賃を支給する。
タイ・イサキ(社会福祉法人 八幡会)
社会福祉法人八幡会は、地域養殖業者会の一員として、現在は鯛三万尾・イサキ四千尾・シマアジ三千尾の養殖を手掛けている。より地域との連携に向け、神社の清掃や季節行事への参加を積極的に行ない、中でも真鯛の魚釣りイベントは地域でも好評価をいただいている。

RECIPE

吹き寄せ寿司弁当

材料

【鯛の幽庵西京焼き】

<西京幽庵地>
西京味噌/幽庵地
<幽庵地>
濃口・淡口醤油/煮切り酒/みりん/柚子

【厚焼き玉子】
卵/出汁/塩/砂糖/薄口醤油

【椎茸旨煮】
干し椎茸
<合わせ調味料> 戻し汁/酒/砂糖/濃口醤油

【赤パプリカ焚きもの】
赤パプリカ
<合わせ調味料>出汁(12/濃口醤油(1/みりん(1) ( )内は割合

【アスパラの含ませ】 アスパラ
<合わせ調味料>出汁(20)/薄口醤油(1)/みりん(1)/塩(少々)

【蓮根の甘酢漬け】
蓮根
<甘酢>酢(2)/水(2)/砂糖(1)/塩(少々)

【かんぴょう 旨煮】 干瓢
<調味料>出汁/醤油/砂糖/みりん/酒

【寿司飯具】
干し椎茸 戻したもの/ごぼう 笹がき/鯛/有馬山椒
<調味料> 出汁/酒/濃口醤油/みりん/砂糖

【寿司飯】
米<寿司酢>酢/塩/砂糖

【盛り付け】
海苔

【アスパラの天ぷら】
アスパラ/天ぷら衣

【かき揚げ】
たまねぎ/にんじん/長ネギ/アスパラ/桜えび/天ぷら衣
<丼つゆ>出汁/濃口醤油/みりん/砂糖

作り方

【鯛の幽庵西京焼き】
1.幽庵地をつくり、西京味噌と合わせる。
2.鯛は3枚におろし、柵取りを行い、一口大に切る。皮目に庖丁目を入れ、西京幽庵地に漬ける。
3.2を焼く。

【厚焼き玉子】
1.卵と調味料をよく混ぜ合わせる。
2.玉子焼き器で厚焼き卵を焼きあげる。

【椎茸旨煮】
干し椎茸は一晩水で戻し、石突を取る。
鍋に戻し汁、酒を入れ火にかけあくを取る。
砂糖・醤油の順番で入れ、最後にみりんで仕上げる。

【赤パプリカ焚きもの】
赤パプリカは直火で黒く焼き、皮を剥く。
半分に割り、種を取って、合わせ調味料で焚く。

【アスパラの含ませ】 アスパラは茹で冷水にとり、水気を取る。合わせ調味料に漬ける。

【蓮根の甘酢漬け】
蓮根は、花形に剥き、半割にして2mmの厚さに切る。
酢水で湯がいた後、ザルに取り、薄塩をしうちわなどであおぎ冷ます。
冷めたものを甘酢に漬ける。

【かんぴょう 旨煮】
かんぴょうは水・塩で戻し、かんぴょうに爪が立つぐらいまで戻す。
鍋に出汁をひたひたになるまで入れ火にかける。
酒・砂糖・醤油・みりんの順で入れ、煮汁がなくなる煮上げる。
【寿司飯具】
1.干し椎茸は、一晩水で戻して石突を取り、5mm角に切る。ごぼうは、笹がきにする。鯛は5mm角より大きめに切り、酒入りする。
2.鍋に1.を入れ、出汁・酒を入れ焚く。砂糖・みりん・醤油の順番で入れ、煮汁がなくなるまで煮詰める。

【寿司飯】
1.米は研ぎ浸水し、水1割減で米を炊く。
2.寿司酢を合わせる。
3.米を炊き、炊き上がりに寿司酢を混ぜ、寿司飯にし粗熱を取り寿司具を混ぜる。

【盛り付け】
寿司飯を盛り、海苔を載せ食材を色合いよく盛り付ける。

【かき揚げ】
1.たまねぎは薄切り、にんじんは3cmの千切り、長ネギは斜め切り、アスパラは3cmに切る。全体に軽く薄力粉をふる。
2.卵水を作り、さっくりと薄力粉を混ぜる。
3.1.と2.を合わせ、170度ぐらいの油で揚げ丼つゆをくぐらせる。
3.すべての調味料を合わせ少し煮詰めておく。

RECIPE

対馬地鶏南蛮饂飩

材料

素麺/対馬地鶏/アスパラ/長ネギ(細)/開きの干し椎茸/柚子

<つゆ>出汁/濃口醤油/みりん
お好みで七味唐辛子

作り方

1.長葱・アスパラは一口大に切る。フライパンに油を入れ、焼き目のつける。
2.対馬地鶏はフライパンで皮目をきつね色になるまで焼き、一口大に切る。
3.干し椎茸は水で一晩戻し、石突を取りつゆで焚き味を含ませる。
4.3.のつゆに2.の鶏肉を入れ、火が入ったらアスパラ・長葱を入れる。
5.素麺はたっぷりの湯で素麺を湯がき、ザルに取り流水で洗う。冷水で麺をしめ、水気を取る。お湯で麺を温め4.に入れ、器に盛り付ける。

RECIPE

にぎわい素麺 対馬地鶏蒸し鶏

材料

素麺/対馬地鶏 もも・むね/塩・酒/昆布/酒/干し椎茸/ナス/アスパラ/海老/Sサイズたまご/柚子

<つゆ>鶏だし/薄口醤油/みりん/鰹節
お好みで七味唐辛子

作り方

1.対馬地鶏に薄塩・酒をふり、陰干しする。
昆布出汁に酒を入れ、鶏肉を入れ火にかける。
沸騰して5分ぐらいで火を止め鍋のまま冷す。
2.干し椎茸は甘辛く煮る。
3.茄子は縦半割にし、皮目に庖丁目を細かく入れ、横半分に切る。油で揚げ、つゆに漬ける。
4.アスパラは茹で、冷水にとり、水気を取る。
5.海老は頭を取り、塩茹にし冷水にとる。
6.卵は67度のお湯に20分かけ、冷水に取る。
7.海老の殻を剥く。アスパラは一口大に切る。椎茸はうす切りにする。
8.鍋につゆの調味料を入れ、煮立たせ鰹節を入れ漉し冷ます。
9.たっぷりの湯で素麺を湯がき、ザルに取り流水で洗い冷水で麺をしめる。
10.器に素麺・具材を色合いよく盛り付けつゆを注ぎ、柚子をふる。

HATTORI COMMENT

Q.九州ブロックの食材を実際に調理されて、いかがでしたか?

服部:本当にレベルの高い食材を使わせていただきました。野菜の寸法もそろっているし、味も均一化されていました。かなり努力を重ねられた結果だと思います。すばらしいと思います。ますます頑張って生産を続けてください。

Q.“農×福×食”の取り組みで、服部先生が果たしている役割とはどのあたりに感じていますか?

服部:我々にはいいものを、たくさんの人に知ってもらうために、紹介していく役割があると思っています。日本の食料自給率は38パーセントしかないのですが、今から60年前は73パーセントあったんです。アメリカは300%を超えているので、世界でも見てもとても低い数字です。日本人はこれから、その土地で穫れるものをもっと大切にして、日本全国で食べていくということをもう一度やらなくてはいけないと感じています。今回、我々はすばらしい食材をいただき、レシピを作らせていただきましたが、逆に試されてしまったという気持ちもありました。また機会があれば、こういう取り組みに携わっていきたいと考えています。
(2020年9月21日 『“農×福×食”九州の食を味わうイベント」にて)